幻獣保護区。

七尾のカオスな日常。あと思うこと。

MRI と夢のなかで見た外国人の話。

初めてのMRIを受けてきた。


思っていたよりも緊張していたようで、名前を呼ばれたときにビックリした。

金属がついたものを全てはずし、部屋へ。

うるさい装置なので、耳栓を貰って装着。
少しの動きでさえも画像が乱れるらしい。極力頭や顔を動かさないようにという説明を受け…

画像をきれいにとるためと落ちると危ないため、全身、特に頭付近を徹底的に拘束される。
非常ブザーを体の前で持ち、体全体に何か蓋のようなものを装着された。
視界はそれほど遮られていないため、蓋を閉めた先生のことは見える。


この状態は…納棺だ。そしてMRIは焼き場みたいだ。

焼かれたこともないのにそんな風に思った。



MRIが動く。
うるさい音がする、と聞いてはいたが本当にうるさい。
耳栓をしているので軽減されているけど、それでも耳の奥がびりびりする。
逃げ出したいとまでは思わないが、ちょっとは不快だ。
仕方ないので、音楽だと思うことにする。

エレキギターとベースが鳴っている重低音だこれらは。そう思うと少しまし。
ライブハウスで、ライブ開始の前にローディーが音をならして試しているようなあんな感じ。
はじめは工事の音だと思うことにしたが、不快さが増すようで、やめた。


音がその都度変わる。
エレキとベースかと思えば、暫くするとこんこんこんこんこん、というなにかを軽く叩くような音のあと、またヴァヴァヴァとベースのような音。

ちょっと飽きてきたので寝よっかな。でも音がうるさくて寝られない…コーヒー飲んできてしまった。間違えた?

じゃあせめて、深呼吸でリラックスしよう。呼吸に意識を向けて…

すぅはぁ。すぅはぁ。
もうちょっとやろ。






外国人がスマホをもってこちらを向いている。
金髪碧眼。髪は短く、前髪をオールバックにしていた。外国人の年齢はよくわからんけど、多分25歳~35歳ぐらいだろう。男性。服装は飾り気のないシャツ。多分現代、だよね。
スマホは黒。利き手どっちか忘れたけど…向かって右側にあったはずだから、左利きだったのかな?
…一緒や。

その人が言うことには
「教えてあげよう。あなたは、あなたは、あなたは…」
なぜ繰り返す。はよ言うて。

思わずその人に話しかけてしまった。
「あなたは…誰?」
ここは
MRIの中、当然会話は頭のなかで、だ。



これまでにも寝る寸前にたくさんの人の姿が見え、少し動いて次のひとに交代、また次のひとが少し動いて…なんてものを見ることが何度かあった。
いつもはその人たちに何も話しかけない。話しかけられることもないから、特にその必要も感じない。

この時この外国人に話しかけることを、別に怖いとも何とも思わなかった。


そんな風に聞いた途端、その人は悲しそうな寂しそうな顔をして、何も言わずにフッと消えてしまった。

暗闇。

「はい、終わりですー。お疲れさまでしたー。」
MRIが終わっていた。あんなにうるさい中でも、いつの間にか寝てたらしい。寝てるなんて思いもしなかった。夢のなかでもMRIの中だったことは覚えていたけど。



あれは何だったんだろう。以前にも心で話したことはあったけど、それであんな寂しそうな反応を示されるなんてはじめてだ。

あの人スマホを持っていたけど、なぜ使わなかったんだろう…
そこも気になるけど、あれは本当に誰だったんだろう。



検査直前まで読んでた鳥獣図鑑のジョニーさんに似てたけど、確実に現実にいるような存在感の外国人て感じで、少なくとも漫画っぽくなかつたし、眼鏡もしてなかった。しゃべり方も片言じゃなかった。


夢だと言えばそれまで。
だけど彼が言っていたことや表情が気になって、頭から離れない。
教えてあげるって、私のことを?私は何なのかって事を?役目を?どうして私を知っているの?どうしてそんなに悲しい顔するの?あなたは本当に誰?どうしてスマホを持っていたの?外国人の知り合いなんて、そんなに居ない。知っている人とは違うみたいだし。だけどじゃあ…どうして悲しいの?


知りたい、あなたの事を。


あなたが教えようとしてくれていた事を。


検査中、一度だけ音にビックリして震えた。
が、それ以外はじっとしてついでに寝てもいたから、まだちょっとふらっとする。

やらないといけないことをやったら、あとは休んどこう。
そう思って、買い物を済ませたら家に帰った。
あの外国人の夢がどういう意味なのか、じっくり考えてもみたかったから。