さみしい
彼女が辛い時に、七尾を選んでくれて、依存してもらえてるのが嬉しかった。
でも、もう七尾だけのものではない。彼女は自立を始めたのだ。
さみしいけど、それが普通なんだ。祝福すべきことであるのも理解している。
毎日話そう、って言ってくれて本当にうれしかった。
一人になるのが怖いなら、おいで、って言ってくれたことも。
それだけで、自殺なんてしない、と思えた。
嘘でも冗談でもその場限りの気持ちでもなんでもよかった。
それが、七尾を思って言ってくれたことに変わりはないから。
変われていないのは七尾だけ。
途方もなく優しいけど、そういうところはある意味で残酷だ。
いや、彼女には何の落ち度もない。七尾がガキで依存的なだけだ。
だから相手を責める気持ちなんてもってのほか。
よかったね、といいつつ、嫉妬が先立って心から言えてないのがわかる。
多分、優しくて鋭い彼女にも伝わっているだろう。
それがまたつらい。
さみしい。独りは嫌だ。いつでも一緒に居てよ見捨てないで、ってすがりたくなる。
そんな情けないものにはなりたくない。重荷になんてなりたくない。
そう思えば思うほど、心の中で子供な自分が泣く。
そんなもん知らないよ、やだああ、って。
多分、今見捨てられてなくても。この思いを全面に出せば嫌われてしまうんじゃないかと思う。重いもん。
自立しなきゃいけないのは七尾の方だ…。
なのに、なんで。癒しても癒してもさみしさは消えてくれないんだろう。
癒してもらうたびに、しょうもない本性がだだをこねて、また縛られてしまう。
やだなあ、こんな自分。情けなくて嫌いだ。
パートナーとの関係に悩んで泣いてたときも。楽しくお話してたのかな、と思うとたまらなくなる。
この気持ちが異常なのは自覚してる…
ずっとこのまま、なんてありえないとわかっていながらも望んでいた。
自立しなきゃ。精神的にも物理的にも。
おわり。